2010/02/20

交通事業の公共性

最近ですが、就職活動中の学生の就職相談を受けました。

学生らしさがすごくあって新鮮でいいな、と思いました。何より自分自身がどういった思いを持っていたのか振り返る時間にもなりました。

そこで再考しなければいけないな、と思ったのが交通事業の公共性です。

飛行機、バス、鉄道、船舶などは、移動サービスを提供する仕事として、公共性が高いと考えられています。

これは本当にそう思ってよいのだろうか?ということです。


乗客の利便性を向上させる、人々が暮らしやすい環境を作り上げていくのは公共性の高いことで間違いはないと思います。

東京都内の私鉄・地下鉄・JRの相互直通運転なんて利便性を考えると、本当によい取り組みだと思います。地方で足のない学生・お年寄りに移動サービスを提供するのも公共性のあるものといえるでしょう。

新幹線や飛行機で遠距離の地域が短い時間で結ばれるのも利便性が高まってよいことかとは思います。

しかし、こういった場合はどうでしょう。

例えばある鉄道沿線に住んでいるとします。

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ある鉄道会社は経営が非常に圧迫されています。
経費削減、関連事業の撤退だけではどうしようもないので、経営破綻を防ぐべく、運賃を値上げすることにしました。

沿線の人々は、不満がありながらも、通勤通学等移動に鉄道を使うので、鉄道がなくなったら困ると思っています。

鉄道の運行はこれからも果たしてもらいたいので、負担が増えたとしても交通網を維持したい。
住民は運賃値上げを了承することになりました。
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こういった話が出たとすれば、はたして鉄道は公共性を保てているのでしょうか?
公共性の減耗とも言えるのではないでしょうか。

他にも、この航空路線は搭乗率が採算ラインを割っているため撤廃します、という話を簡単に鵜呑みにしてよいのでしょうか。

民間会社だから、値上げは仕方ない、採算が合わないからだけではすまないところがありますよね。

もう一つ例を挙げます。

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開かずの踏切が問題になっているので、高架化して車の渋滞を解消した。
一方で近隣住居の日照権が侵害されてしまった。


利便性を高めるため、新幹線の300㎞運転を了承した。
一方で近隣住民が騒音問題で悩まされることとなった。


空港建設により、土地を失ってしまう、騒音の問題があるというため、地元住民が反対した
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①②③、どれも個人の権利が冒されても、公共の福祉という理由で成立していることもあるかと思います。
こういうことを考えるとやはり交通事業は公共性の高いものだ、と考えてもよい気がしてきます。


ただ、やはり経営の中で交通事業の存廃や値上げなどを短絡に結んではいけないのが交通事業者です。
そういった意味で民間交通事業者は難しい取り組みをしていると思いますし、沿線中心に関連事業で稼いでいる面も多いのだと思います。

公共的ではあるけれども、公共を侵しかねないということを肝に銘じなければなりません。


番外になりますが、都内の相互直通運転のおかげで気付いたら多く料金が取れられてしまっていた!なんてことないですかね?

東京に住んでいた時、メトロ、都営線、JR、私鉄、気付いたら色々な線に乗車していて余計に色々な会社へ運賃を支払っているな、なんてことがよくありました。

例として、田園都市線の青葉台駅から、表参道駅に集合するとします。

田園都市線~半蔵門線直通で列車に乗っていったとして420円。
一方、田園都市線終着の渋谷で降りて、表参道まで徒歩で260円。

直通運転で利便性があがっているにこしたことはないのですが、実際は首都圏沿線鉄道会社がうまく運輸収入を上げていく一つの方法でもあると思います。

乗り換えもないし、そのまま列車乗ってっちゃおうぜ!
という気持ちを収入につなげているのはすごくビジネス的にもうまく、winwinな関係になっているな、と思います。


最後になりますが、JRの地方線や、第3セクター線、地方都市、田舎のバスなどで、
こんなダイヤで、誰乗るんだよ!公共性保ってるのかよ!
など思っている住民も少なからずいると思います。

1日に1往復しか来ない駅は誰が利用するのかなども、公共に関して考えるべきことかと。

これから東北新幹線新青森駅開業に伴う、青い森鉄道の延伸や、新函館駅延伸に伴う江差線の動向なども影響が気になるところですが、補助金で維持していくようなれば、結果的に地域住民の税金から負担することになり、負担増と考えられることでもあります。

公共性を高らかに謳うのではなく、実際に交通網をどれだけ必要としているのか、どれくらいの受益をもたらすのかを考えなければなりません。

そして公共を保つには、より多くの人が必要とし、利用していくことがなければ成り立ちません。

鍵はやはり中心市街地、なんだけれども。
各路線の集積地が便利であればあるほど相乗効果になるのは明らか。

函館の場合マチが分散しているので簡単には言えないですが。


この話に自分なりに答えを出すのは難しいです。
公共、公共性、という言葉に関して詳しい方いましたら考えを聞かせてください。

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